
ご挨拶
「八幡浜で起業しても、将来性は低い」
多くの方々から、そんなご意見を頂きました。
我が故郷である八幡浜市にて独立起業すると決めた、2015年のことです。
私の実家は明治時代から代々続く薬局。
人々に寄り添い、人情味に溢れる両親の背中をみて育った私にとっては薬剤師を志すことは必然でした。
しかし、『どこで、どんな薬剤師として生きるか?』は、お隣り町の大洲市の病院で勤務する日々のなかで、
自問を繰り返していました。
「人間到る処青山有り」
幕末の僧である月性が残した詩に、こんな結びの言葉があります。
“骨を埋めるところはいくらでもある。大望のためには故郷にこだわることなく、広く世間に出て邁進するべきだ”と。
確かに、少子高齢化著しい土地での商いは厳しいものでしょうし、地域医療における責任は大変に重い。
多くの方々のご忠告も、月性の詩も、頭では理解ができるのです。
ただ、私にとっての将来とは、大望とは、どうにも八幡浜でしか成し得なかった。
大好きな故郷で、お世話になった方々へ、自分なりの恩返しのカタチ。
幼少の頃から家族のようにかわいがってくれた、大好きな商店街、ご近所の方々。
大いに語らい合ったことはなくとも顔見知りの方、先輩後輩、その兄弟に、両親子供。
小さな小さな故郷だからこそ、地元の人間だからこそできる接し方で地域に密着し、
薬剤師として寄り添うことができる自分でありたい。
そうして、八幡浜市にて1店舗から調剤薬局事業を開始し、今では市内3店舗に拡大、2023年には福祉事業部を新たにスタート致しました。加速する地方高齢化社会に備え、在宅医療領域におけるソリューションサービスを開始する予定です。
「播かぬ種は生えぬ、無いと思うな運と災難」
代々ここ八幡浜で薬剤師として生きてきた、私の先祖が残した言葉です。
大輪の花を咲かせるであろう種も、持っているだけでは育たない。
肥えた土に種を播き、水を与え、十分に情熱を注いでこそ華やぐもの。
時には容赦なく吹く風もあるだろう、強く照らす陽もあるだろう。
それでも、堪え難きを堪え、あらゆる災難を乗り越えた先には必ず運もついてくる――
地域の人々の健やかなる日常のために奮闘した先祖が残してくれた生き様は、いかなる苦難にも立ち向かう強い心を私に授けてくれた気がします。
丁寧な説明と共に薬をお渡しし、「お大事に」とお見送りする。
これは、薬剤師として当たり前のこと。
私たち池田やは、些細な体調変化や違和感、福祉に関わる相談や将来について、なんでも気軽に相談して頂ける薬局であり続ける一方で、優秀な薬剤師、スタッフが溌剌と働ける職場環境づくりに努め、永続的な地方医療の一助となるよう一丸となって前進していきます。
株式会社 池田や
代表取締役社長
